AutoScanner 説明(dpf)
ヒストグラムについてはp.18を参照してください.
(2.2.1.1 大腸菌群陰性試験の自動計測(p,12)を参照してください)
大腸菌群は、グラム陰性の無芽胞性の桿菌で、乳糖を分解して酸とガスの両方を生ずる好気性または通性嫌気性の菌と言われています。大部分は腸内細菌ですが、土壌、沿岸海水などに広く分布しており、例えばエロモナス(Aeromonas)、 シトロバクター(Citrobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、大腸菌(Escherichia)、エンテロバクター(Enterobacter)、などが含まれます。この中でも、エロモナスは増殖が遅いと言われています。
大腸菌群 陰性 とは,これら全てが陰性である、ということなのです。
5 種類混合試料でデソキシコレイト寒天培地によりヒストグラムを取得した結果をもとに、プロトコル時間を設定して、この時間まで培養試験をして何も検出しなければ、大腸菌群陰性としてよいことになります。
解析設定は、定量試験のコロニー検出設定(☑繋がり防止ON)を使用します。混合混釈試料中のそれぞれの標準菌株の菌数は多い方(例えば、1,000程度)が好ましいのです。(定性試験として、許容ノイズレベルを設定しておきます)
全ての大腸菌群の陰性試験を保証するには、検査に採用するデソキシコレイト寒天培地で混合試料を培養して、
総合ヒストグラムを取得し、プロトコル時間を設定します。
注意)公定法のデソキシコレイト寒天培地を使用してください。
デソキシコレイト寒天培地の性能も、メーカーによって異なります。
注意)大腸菌は、日本薬局方に規定されています標準菌株NBRC3972を使用してください。
ATCC25922での検出が良くても、NBRC3972の回収率が20%程度と悪い培地があります。
注意)大腸菌の検出が速いとして、大腸菌だけでプロトコル時間を決めて検出を終了させると、
偽陰性になりますので注意してください。
注意)ポリフェノール(ココア、コーヒー、など)を含んでいる試料は培地組成の一部になってしまい、
菌の増殖が遅れ、他の試料と同様のプロトコル時間では、偽陰性になります。
陽性試料(positive control)を使用して、プロトコル時間を決めてください。
下記は、牛乳試料中の大腸菌群の検査をデソキシコレイト寒天培地で実施した例です。
大腸菌群が検出されれば、次のようになりますが、プロトコル時間まで、何も検出されなければ、大腸菌群は 陰性 ということになります。