ダーラム管からセンシメディアへ

ダーラム管からセンシメディアへ

【迅速検出キット】
センシメディアは、ダーラム管に替わる迅速検査キットです。

ダーラム管からセンシメディア微生物迅速検査キット

 

【特許取得】 センシメディアで,機器使用よりも  かんたんで正確に!

 

ダーラム菅からセンシメディアへ

 

ダーラム管は逆さまにした管の口からCO2を集めて管の真下に存在する微生物を検出しますので,ダーラム管では液中に存在する微生物は検出できません。 センシメディアは培養液全体に存在する微生物が発生するCO2を吸収して検出しますので,大腸菌群陰性試験が確実に実施できます。

 

 ダーラム管からセンシメディアへ

 

 

 

呈色反応方式による細菌検査の数値化

 

マイクロバイオ株式会社

小川廣幸

 

はじめに
 細菌検査は知識と熟練を要するが,これは検査システムの数値化が不十分であることに起因している。検査結果が客観的に扱える数値データとして表現できれば,データそのものを交換して議論できるようになることはもとより,検査自体が「だれにでもできる」ようになる。
 本稿では,数値化を実現できる定性試験用細菌検査技術の一つとしての呈色反応方式についてまとめてみた。

 

1. 呈色反応方式の細菌検査用具
 この検査用具はキャップ付の試験管に液体培地を装填し,CO2 インジケータを封入した滅菌済の使い捨てタイプのものである。
 細菌の存在を感知する方法として,細菌が増殖する代謝過程において発生する CO2 を検出することは,広く採用されている方法である。この用具の構成は下図(図 1)に示すように,チューブ状の容器に培養液(液体培地)を入れ,更に同容器に CO2 に反応して呈色反応を起こす液体を高分子ポリマーであるポリプロピレンなどのようなガス透過膜から成る袋体に封じ込めたセンサーを入れたものである。

呈色反応方式 センシメディア 

図 1 呈反応方式 細菌検査用具

 

 この用具に試料を添加してキャップを締め,インキュベータにてターゲット菌の至適温度で培養すると,試料中に存在する菌は増殖過程において CO2を発生する。このガスがガス透過膜であるセンサー袋の外側からセンサー液側に浸透し,袋内の液体の着色濃度を比較的短時間に大幅に変化させ,試験管外部から簡単に目視確認ができる
 センサー液成分の例としては,高 pH の水酸化ナトリウム希釈液に pH 指示薬としてのチモールフタレンを添加し,濃紺色にしたものがある。

2NaOH + CO2 → Na2CO3 + H2O

センサー袋内に浸透してきた CO2 を水酸化ナトリウムが吸着し,塩である炭酸ナトリウムと水になり急激に pH が中性側に下がるので,センサーの色が無色透明になる。
 試験管の容積や菌の発生する CO2 の量などを考慮して薬液の濃度等を設計すれば,センサーの呈色反応時間を30 分以内に設定することができる。
 この細菌検査用具の利点の一つとしては,無接触型のセンサーが内蔵されているので単体でも細菌検査に使用できるということがある。また,試料 1ml を添加してインキュベートするだけで目視により細菌の存在を確認することができるので,熟練を要する細菌検査が,だれにでもできるようになる。 更に,嫌気性細菌の検出も可能である。

 

 他の検査用具と比較した場合の利点は,次のようになる。
a. 液体倍地を利用した用具との比較

  • センサーの検出感度と精度を設定することができるので,簡単で効率が良く,速くて信頼性が高い検出が可能となる。
  • 検出した際のセンサーの色の変化が大きいので,目視による単体使用もでき,また,自動化も容易である。
  • 呈色指示薬(センサー)と液体培地をガス透過膜により隔離したので,呈色指示薬が細菌の成長に影響を与えず,培養液もセンサーの性能を阻害しないし,培養液の pH もセンサーに影響を与えない。また,試料の色が検出には問題にならない。
  • センサーは CO2 を吸着するので,培養液中に CO2 が増加することにより細菌の成長が阻害されることがない。

b. 寒天倍地との比較

  • この用具は試料を 1ml 添加することを標準としているが,これは,寒天培地を通常使用する場合の試料の量 10μl の 100 倍に相当するので,検出の確率が高い。
  • 養分を 3 次元で供給するので細菌の増殖が液体培地にしただけで速くなる。また,抑制剤の効果も同様で,ターゲット以外の菌の抑制が微妙に調整できる。

 

2. 細菌繁殖時間計測用インキュベータ
 試料を添加した呈色反応方式の細菌検査用具を装填し、インキュベートしながらセンサーをモニターして検査開始時からセンサーが反応するまでの時間を計測する検査機器は比較的容易に作製できる。(図 2 参照)

 

 

 細菌繁殖時間計測用インキュベータと検査用具の設定例を次に述べる。検査用具は 16ml 用滅菌済試験管を採用してターゲット菌の選択性を持った培養液を 4ml 入れるようにすれば,試料を 1ml 添加した後でも,センサー袋は液面より十分高く出る。このようにセンサー袋を設定した場合,機器の検出機構は例えば LED の光を半導体センサーで検出するだけのものでも実用化できる。センサー袋が試験管の内部でふらついても検出できるようにするためには,LED と検出器を対で 90 度方向に 2 組配置するなどの工夫をすればよい。2 つの半導体センサーからの出力を加算して次段の増幅回路に送ることで対応できる。インキュベータは,アルミヒートブロック方式を採用し,温度を自動制御する。
 ここで重要なことは,機器の機能として,陽性になったことだけを感知することが主目的ではなく,1 分間に 1回程度の頻度でセンサーが陰性か陽性かをダイナミックにチェックすることにある。つまり,センサーが陽性になるまでの時間を計ることにより,初期の試料 1ml 中に存在した細菌数とセンサーの反応するまでの時間との間に相関がとれるようなシステムを構築するのである。

 

3. 細菌増殖特性の把握
 検査用具をこの細菌繁殖時間計測用インキュベータで使用すると,与えられた条件下にある細菌の増殖具合が的確に把握できる。1ml についての菌濃度が把握された試料を用いて希釈系列を作成し,各用具が菌を検出するまでに要する時間を計測して線で結ぶことにより特性直線が得られ,グラフで表現できる。
 EC ブロスをベースにした大腸菌群用液体培地を用いて,大腸菌の増殖特性を把握してみると次のようになる。まず試料として,E. Coli(ATCC 25922)を菌濃度が 1ml について 10 の 8 乗個程度の試料を 10 倍ずつ希釈して,希釈系列を用意する。(図 3 参照)

 

ダーラム菅からセンシメディアへ

図 3 希釈系列

 

 希釈系列の試料を添加した検査用具を 37℃で培養して各用具の検出時間を計測し,縦軸が菌数の対数目盛りで横軸が時間のグラフに表すと,下図(図 4)に示すように,1 回の試験でも,ほぼ直線の特性が得られる。こうしてグラフで表現できるということは、数値化ができたことを意味する。

 

大腸菌増殖特性 

図 4 大腸菌増殖特性

 

 菌数は、従来法で確認した上で、相関をとるために特性直線にオフセットをかけて補正する。

 

4. 特定菌用検査用具
 ある特定の細菌を検出する用具は、標準菌株を用い、ターゲット菌を一番速く増殖させ、他の菌の増殖を抑制させるよう液体培地を調整すればよい。
 下図(図 5)は、その一例として腸炎ビブリオ菌用検査用具の特性を示したものである。

 

選択的に特定菌を検出する方法 

図 5 特定菌検出概念

 

検査を開始してからターゲットである一番速く増殖する腸炎ビブリオ菌(Vibrio parahaemolyticus ATCC 17802)の1/ml の試料が検出を完了するまでの時間をプロトコールとすれば,この場合は 12 時間 30 分かかることになる。通常の場合 1000/ml 程度の他の菌が混入しているとすれば,プロトコールが完了してから次に増殖してくる菌(上図の場合,サルモネラ菌(Salmonella typhimurium ATCC 14028))の 1000/ml の試料が検出されるまでの時間をセパレーションとしてできるだけ長くとれるように培地を調整する。この用具の場合は、セパレーションは 7 時間 3分の間隔があることになるので、ほぼ確実に腸炎ビブリオ菌を区別して検出できる。更に,試料 1ml 中の菌数を,検出に要した時間によりグラフから読み取ることもできる。
用具の性能をグラフで表現できる利点としては次のようなものがある。

  • 試料に含まれていた菌数が把握できる。
  • 検出に最適な培地が調整できる。
  • 検査用具の製造ロットに性能グラフを添付できる。

 

5. 特性試験による菌の性状把握
 この検査用具と細菌繁殖時間計測用インキュベータから構成されるシステムは,単に細菌検査システムとして役に立つだけでなく,細菌の性状を把握するためや,液体培地の開発のためにも,極めて有用なツールである。
 培養型の細菌検査用具の開発は,的確な菌の性状把握が必須条件となる。ターゲット菌の至適増殖条件が確定できた時点で用具の開発,いわゆる至適増殖温度や培地組成の決定が,ほぼ8割程度完了したと言える。ターゲット以外の菌の抑制が課題として残るだけとなる。
 細菌の増殖過程をグラフで表現できることは,多次元での特性試験,いわゆるキャラクタライゼーションが実施できることを意味している。性状の知られていない菌についても,温度,pH,塩分濃度などの基礎条件に加えて各種促進剤,抑制剤等,いくつものパラメータを変化させて特性をとるという標準菌株による多次元の特性試験を実施すれば,性状を把握し,至適増殖条件と他の菌の抑制条件を確定することができる。このことは,この検出システムにより多次元的にパラメータを変化させ,標準菌株について学習(ラーニングモード)し,データベースを構築した上で、この逆作業を行って収集されたデータを基に同種の菌を検出できることを示唆している。
 菌の取り扱いなどについて正しいラボ手順に則りシステマティックに特性試験を行えば,ターゲット菌に最適な培養液の開発さえもだれにでも迅速にできるようになるのである。この場合,培養型検査用具の精度は,データベースとして収集されたデータの緻密さに依存する。
 多次元のパラメータの使用は,検出の速度と精度を向上させる効果もある。例えば,アルコール濃度により著しく増殖速度が変わる火落菌の場合は,至適温度で培養した時の呈色反応方式のセンサー検出時間がパラメータの一つとすれば、アルコール濃度がもう一つのパラメータとして利用できる。(図 6 参照)

アルコール濃度による火落菌の増殖への影響 

図 6 火落菌のアルコール濃度による増殖への影響

 

 また,近年問題になっている果汁を変敗させる耐酸性芽胞菌 Alicyclobacillus の場合を例にとると,この菌の性状に関する資料が少ないにもかかわらず,このシステムで至適増殖条件を把握した結果,その時点で液体培地の組成が決定でき,検査の手順や注意点も含め,そのまま検査用具として最適なものが開発できている。

 

おわりに
 呈色反応方式のようなシンプルな技術によっても細菌検査の「数値化」が可能であり,数値化できることにより特性試験など,概念的に比較的高度な作業が簡単に実施できるようになる。
 数値化の最大の恩恵は,検査結果が客観的なデータとして取り扱えるようになるばかりでなく,標準菌株の性状について多次元のパラメータによるデータを収集し,データベースも構築できることである。このデータベースの各パラメータの数値に基づいて,未知の試料を検査すれば,標準菌株と同じような特性を示すものがあれば判定ができる。
 菌の特性試験を逆に行い,データベースの判定数値で検査ができれば,だれにでも細菌検査が実施でき,また,だれが実施しても同じ結果が得られることになるのである。

 

 

 

【特許取得済】 微生物検査用培地と微生物数検査方法

センシメディアは「フタを開けて試料を添加して培養するだけ」の使い方がかんたんな微生物検査キットです。液体培地を使用していて検査キットとして特許を取得しています。
 さらに,培地にターゲット以外の菌が混入している場合にもターゲット菌,例えば大腸菌群,を容易に判定でき,専門知識がなくてもターゲット菌を容易に判定できるように,「所定の微生物の増殖を促進する促進剤と他の所定の微生物の増殖を抑制する抑制剤とを,前記所定の微生物の方が前記他の所定の微生物より所定の微生物数の範囲で少なくとも同数の微生物数からの増殖により所定の量の二酸化炭素を排出するまでの時間が短くなるよう所定の分量で含むことを,特徴とする微生物検査用培地」につきましても特許を取得しています。

大腸菌群の陰性試験