エクソフィアラ(黒カビ)も確実に迅速検出できます!
PDA寒天培地シャーレをセットして、スタートするだけです。
(マイクロバイオ社のPDAをお薦めします。)
カビ・真菌の中でも「エクソフィアラ」は飲料や日用品の製造で、製品が汚染されて品質問題や回収問題を引き起こしたりしています。※ エクソフィアラは風呂場のタイルの目地に生えるような黒カビです。
産業界ではポテトデキストロース(PDA)寒天培地がカビ検出用培地の主力として一般的に採用されていますが、エクソフィアラはPDAにはほとんど増殖しませんので、普通のPDAでは検出が困難です。これが問題を引き起こしている主な原因の一つとなっています。
サブロー培地かマイクロバイオ社のPDA(PPM008)を使用すれば、確実に検出できます。この培地を用いて寒天培地用 全自動微生物迅速検出装置 MicroBio μ3Dで検査すれば、他のカビ・真菌と同様に、全自動迅で迅速に検出できます。フィルター法の場合でも、エクソフィアラの検出にはこれらの培地が有効です。
PDA、GPLP、サブローデキストロースの寒天培地によるエクソフィアラの検出につきまして、MicroBio μ3D の検出試験データを次に示します。
結果としまして、PDA培地に比べて Sabouraud 培地は E. jeanmelsei の増殖を良くサポートしていることが確認できています。
グラフによる比較検討を実施していますが、標準分布(ベル形状)を得るにはサンプル数が多い方がよいとされていますので、試料は菌数が1,000個/ml以上の程度とし、培地が持つ増殖サポート性能をグラフで把握し易すくして特性を比較しています。
使用機器:MicroBio μ3D AutoScanner
標準菌株:Exophiala jeanmelsei (NBRC6858)、
寒天培地:1) ポテトデキストロース寒天培地(PDA)、
2) レシチン、ポリソルベート添加グルコースペプトン寒天培地(GPLP)、
3) サブローデキストロース寒天培地(Sabouraud)、
試料形態:0.1ml 試料、菌濃度は約 1000〜1500個/ml 程度、塗抹、
培養温度:28℃培養、
試験結果:168時間培養、
E. jeanmelseiの同じ試料をそれぞれの培地に添加しています。培養した結果、PDAは0個、GPLPでは1,138個、Sabouraudは1,559個のコロニーをそれぞれ検出計数しています。このカビは、Sabouraud培地に良く増殖することが確認できましたので、動物性由来のペプトンなどが増殖に必要としていることが分かります。
ポテトデキストロース寒天培地(PDA)
組成(39.0g(1L分)中):ポテトエキス(4.0g)、ブドウ糖(20.0g)、カンテン(15.0g)、
試験結果:168時間培養後、検出0個
ポリソルベート添加グルコースペプトン寒天培地(GPLP)
組成(1L分中) : 酵母エキス(2.0g)、カゼインペプトン(5.0g)、ブドウ糖(20.0g)、
カンテン(15.0g)、硫酸マグネシウム(0.5g)、りん酸二水素カリウム(1.0g)、
レシチン(15.0g)、ポリソルベート(807g)、
試験結果:168時間培養後、検出1,138個
サブローデキストロース寒天培地
組成(1L分中) : 動物組織-ペプシン消化ペプトン(5.0g)、カゼイン-スイ消化ペプトン(5.0g)
ブドウ糖(40.0g)、カンテン(15.0g)、
試験結果:168時間培養後、検出1,559個
このことから、良いPDAであればあるほど、エクソフィアラの培養ができないということになります。
PDAを使用してエクソフィアラ(黒カビ)を検査しようとしますと、一週間培養しても増殖してきませんので、誤陰性になる可能性が極めて高いことになります。
このカビの検出にはサブローデキストロースが大変有効であると言えます。
※マイクロバイオ社のPDAは、組成を強化していますので、エクソフィアラもよく検出できます。