【日本防菌防黴学会誌】 Vol.46 No,4 (会員の声-培養-) 「培養法について」

日本防菌防黴学会誌 Vol.46 No,4 (会員の声-培養 -)

日本防菌防黴学会誌 Vol.46 No,4 (会員の声-培養-)

「培養法について」

 

日本防菌防黴学会誌 Vol.46 No.4 2018

会員の声-培養-より転載

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 会員の声の欄「培養」への執筆のご依頼を頂きましたが,「培養」自体が私にとって大変意味深いものがあります。

 

 以前,医療関連の業界で微生物検査装置に携わっていたときですが,産業界の方から微生物を検出するセンサーの開発を依頼されたことがあります。これがきっかけで,迅速に微生物を検出できる様々な方式を検討してみることになりました。もともと電子工学のバックグランドを持ち,高速大型装置を使用した高集積度ICのテストに十年以上携わっていた経歴がある私にとりましては,当時でも半導体のテクノロジーは1ミクロンを越えてサブミクロンになっていましたので,「小さいもの繋がり」で,何らかのハイテク法で容易に微生物の迅速検出ができるセンサーを開発できるはずだと考えることが自然でした。周りには微生物関連の学位を持つ人も多く,自分たちの使用している寒天培地による培養法などはハイテク法に置き換わり,早晩廃れてしまうものだと言い切っておりました。しかしながら,検討を重ねていくうちに,産業界では「生菌」の検出が目的だということが分かりました。それも1微生物でも検出したいということのようでした。製造する製品が殺菌工程を経ていることが多く,生菌により製品が汚染されることがあっても汚染度が極めて低い場合が多いのです。ここで初めて細菌学者のコッホが発明したと言われる寒天培地培養法が百数十年もの時を越えて現在でも微生物検出の比較標準法として採用され続けていることの意味が分かったのです。何をもってして「生きている」とするかがはっきり決められない以上,これを検出できる直接的なハイテク法を構築することができそうもないのです。これに比べて,寒天培地に試料を添加して培養し,生きている1微生物からでも形成されるコロニーを目視で観察することができるこの方法は,最も確実ではないかと思えました。ただ,残念なことに,消費が拡大して流通が加速している現代社会において,微生物検出が培養に依存しているのでは時間がかかり過ぎるのです。「相手に勝てないのであれば,相手側に参加しよう」ということで培養法を強化しようということになったのです。生菌検出センサーを開発するのではなく,寒天培地を使い捨て生菌検出センサーと位置づけて,検出を早くするため,培養しながらミクロの眼でモニターして目視では確認できないマイクロコロニーのレベルで早く検出するというものです。検出を加速するには,検出対象微生物の標準菌株を用いて特性試験(温度,pH,培地組成成分などを振らせて増殖特性をチェックする)を実施して至適培養条件を見つけ出し,増殖速度を最大にして検出を加速することにしたのです。これを実現するには,寒天培地培養法を全自動化して,コロニー検出を早くできるようにし,検出(培養状況)を数値化できるようにする必要がありました。微生物の増殖をサポートする良い寒天培地を科学的に早く作製するには,液体培地培養法の結果を数値化できるシステムも必要となりました。結局,微生物試験を定性試験と定量試験に分けて考えて,それぞれ数値化のできる試験法を考案することになったのです。

 

 私にとってこのようなことがありまして,「培養法の全自動化,迅速化の提供に向けて」ということをテーマにマイクロバイオ鰍ニいう会社を創業して現在に至っています。 (マイクロバイオ(株) 小川廣幸)

 

 

 

 


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